氷の舞台
アイスショーは、子供時代の私にとって身近なものではなかった。
1978年のプリンスアイスワールドが、出発点だそう。
荒川静香さんがオリンピックを過ごした頃、
「プロスケーターになりたい」と言うのを聞いて、
プロの人たちの興行があることを、初めて知った。
今年、思い切って、長野オリンピック記念事業というショーを生で観戦した。
あっけなく終わっていくひとつひとつの演技に、
拍手をしたり立ち上がったりと、観客が忙しいのが新鮮だった。
宇野昌磨選手をきっかけに出向いて、宮原知子選手の美しい身体性に見惚れた。
キャンデロロさんやストイコさんが見られたのもよかった。
二人のシブタニ選手とネイサン選手の演技にも驚かされた。
短い一瞬の演技でも、演者によって空気が違うと、肌で実感した。
美しく光る氷の上で、踊る。
不思議なことを人は考えたものだ。
サーカスのような奇術じみた感じもあり、
舞台芸術のような豊かさもある。
バブル期に始まり、今真っ盛りの興行。
縮小する社会のなかで、スケート文化を含め、
裾野の広い文化の数々を、いつまで楽しめるのだろう、という気もするが
今日を大切にすることが、きっと明日を引き寄せるのだろう。
贅沢な舞台も、年に一度くらいなら、自分に許してもいいかな。