「選択と集中」の反義語
「選択と集中」の反義語は「ばらまき」「ムダ」ではなく「多様性」である。
という一文を、本で見て、ハッとさせられた。
今、様々なものに「選択と集中」が求められている。
限られたお金、人手、資源を分け合う、有限の世界にいるのだから。
ムダ遣いはしてはいけない。
有限なものを効率的に活用することが奨励される。
公共事業、文化振興、学術、スポーツいかなる世界でも。
勝てるものに金を投じる。
ノーベル賞、オリンピックでのメダルの数、数値目標、効果測定。
目標が分かりやすければなおよい。
地味な基礎研究、役に立ちそうにない文化研究に目配りする余裕はない。
だけど、切り捨てられていくものを含めた様々なものが、
社会に対する多様な視点を許し、豊かさを形づくっている。
多様性の喪失は、日本の文化や社会を少しずつ変えていくだろう。
そのことを、突きつけられる一文だった。